2026/10/16 22:48
ウィーンの食文化といえば、ウィーナー・シュニッツェルやザッハートルテがよく知られています。しかし、ハプスブルク家の歴史とともに味わいたい料理が、もう一つあります。
それが、牛肉を香味野菜とともにじっくり煮込んだ「ターフェルシュピッツ」です。皇后エリザベート、愛称シシィの夫である皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が好んだ料理として知られています。
時間をかけて引き出す、牛肉と野菜のうまみ
ターフェルシュピッツは、牛肉の特定の部位を指す名前であり、その肉を使った料理の名前でもあります。
作り方は、牛肉を根菜やねぎ、玉ねぎ、香辛料などと一緒に、静かに煮込むというもの。強く沸騰させず、時間をかけてやわらかく仕上げます。華やかな飾り付けよりも、素材の持ち味を丁寧に引き出すことが、この料理のおいしさにつながっています。
付け合わせと楽しむ、ウィーン流の味わい
煮上がった牛肉は繊維を断つように切り分け、じゃがいもやチャイブのソースなどを添えていただきます。西洋わさびを使った付け合わせも、この料理に親しまれてきた組み合わせです。
ひと口ごとに付け合わせを変えれば、やさしい牛肉の味わいに香りや辛みが加わり、違った表情を楽しめます。また、肉と野菜のうまみが溶け出した煮汁は、スープとして味わうこともできます。一つの鍋から、食事の楽しみが広がる料理なのです。
シシィの時代に思いを寄せて
豪華な宮殿やきらびやかな宝飾品は、ハプスブルク家の華やかさを伝えてくれます。一方、皇帝が好んだ料理は、歴史上の人物を少し身近に感じさせてくれます。
エリザベートの生きた時代を、夫フランツ・ヨーゼフ1世の食の好みから眺めてみる。それもまた、ウィーンの歴史を楽しむ一つの方法でしょう。
湯気の向こうに、かつての帝都の暮らしを思い描くひととき。ターフェルシュピッツは、オーストリアの歴史と食文化を、ゆっくり味わわせてくれる一皿です。
そんな本格的なオーストリア料理を楽しめるお店があります。
神戸 菜酒啓処 Budouya
