2026/10/17 01:41
― 白磁と金彩に息づく、ウィーン宮廷の美意識 ―
白く澄んだ磁器に、優雅に輝く金彩。
ウィーンの磁器ブランド「アウガルテン」の器には、ハプスブルク家が育んだ宮廷文化と、その美意識が受け継がれています。
そして、その歴史をひもとくと、「シシィ」の愛称で親しまれる皇后エリザベートの時代へとつながっていきます。
アウガルテンの歴史の源流は、1718年。ハプスブルク家の皇帝カール6世が、クラウディウス・イノケンティウス・デュ・パキエに磁器製造の特権を与えたことに始まります。当時、磁器は「白い黄金」と呼ばれ、王侯貴族の富や教養を象徴する貴重な存在でした。
1744年には、ウィーンの磁器工房がマリア・テレジアの所有となります。皇室の庇護のもと、繊細な花々や優美な装飾を施した磁器が生まれ、ウィーンの磁器文化は発展していきました。
ハプスブルク家とシシィ、そしてアウガルテンを結ぶ手がかりとなるのが、現在の「ハプスブルク」シェイプと「エリザベート」の金彩装飾です。
アウガルテン公式の説明によると、その原型は、19世紀初頭にオーストリア皇室が大規模な祝宴のために注文した、幅広い金縁の食器にあります。端正な古典主義のフォルム、白磁の輝き、そしてウィーンの優れた金彩技術。その組み合わせは宮廷で長く親しまれ、皇后エリザベートの時代まで受け継がれました。
「エリザベート」という名前を持つ器は、シシィが生きた宮廷の食卓文化を、現代へと伝える存在です。
白磁と金彩がつくり出す美しさには、華やかさとともに、すっきりとした気品があります。器を眺めながら、シシィの時代の宮廷では、どのような会話や食事のひとときが重ねられていたのだろうと、想像が広がります。
今日もアウガルテンでは、成形から絵付けまで、職人の丁寧な手仕事によって磁器が生み出されています。ウィーンの磁器文化を受け継ぐ技と美意識が、一つひとつの器に込められているのです。
お気に入りの紅茶を注ぎ、ゆっくりとカップを手に取る。
そんな日常のひとときに、ハプスブルク家の歴史や、シシィが生きたウィーンへ思いを寄せてみませんか。アウガルテンの器は、遠い宮廷の物語を、私たちの暮らしの中へそっと届けてくれます。
